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    まえがき
 
 佐倉の自然は植物も動物も谷津からはじまり印旛沼でおわる「水の環境」に支えられています。「水の環境」に恵まれた所に林や草原などの「緑の環境」が成り立ち、豊富な種類の樹木が生い繁るのです。
 樹木や樹林は主に台地の斜面や古い神社・寺院の周りにみられますが、近年都市開発による急激な人口増加に伴い、その緑地は多く失われつつあります。佐倉の市民にとって「みどり」は貴重な財産です。この緑を永く子孫に残すことが如何に大事なことか、我々は真剣に考えなければなりません。
 佐倉市民カレッジで学ぶ仲間達で構成されている「森林と巨木を訪ねる会」は、市が推進している緑地保全保護対策に基づき、ボランティア活動として微力ながら協力してゆきたいとの思いから“夢のまちづくり・さぽーと事業”に参加することにしました。
 本年のテーマは市選定の名木・古木・樹林(以下保存樹という)等を詳細に調査することによって、緑の大切さ、偉大さを冊子にまとめることです。
 樹形が格調高く、樹種等が稀なもの、保存価値のある樹齢100年以上のもので、市の区域内に所在する保存樹は89カ所におよびます。市の保存選定台帳(平成13年度)によると、その内訳は、名木(4カ所)、古木(24カ所)、樹林(60カ所)、草地(1カ所)となっており「注」、所在は神社・仏閣などの境内林(71%)が最も多く、個人所有(23%)、学校などの公共施設(6%)となっています。更に、樹種は常緑樹のスダジイが多く(19本)、スギ(14本)、落葉樹のケヤキ(11本)と続いています。
 市の台帳に選定登録された保存樹は、ほぼ30年間で99件を数えますが、内10件の樹木は枯死を主な理由として解除、抹消されています。
この現実は何をものがたるか、保存樹の維持管理がいかに難しいものであり重要なことであるか、行政のみならず市民全体の問題として深く考え善処しなければなりません。これが緑豊かなまちづくりに貢献することなのです。
 数百年の年輪を重ねてきた保存樹は素晴らしく、見る人々に何かしら不思議な力を与えてくれるようです。わがまち佐倉に住まれる方々に、この小冊子が古木・巨木を訪ねる案内書として、御利用いただけましたら幸いに思います。
「注」樹林の内伐採等が主な理由で、対象が不明につき調査から除外しました(2カ所)
☆ 右上の写真は「火災で生きのびた1000年の生命」
          鷲神社のケヤキの大樹(佐倉市指定文化財)