下勝田の鎮守は天満宮で、菅原道真を祭り、上勝田では大宮神社で天鈿女命(アマノウズメノミコト)を祭っているが、両社はちょうど背中合わせに建てられている。これは、この二神の仲が悪いからだというが、その理由はまだ説明がついていない。
 天神様がその競争者である藤原時平を祭るものと仲が悪く、通婚をさける等はよく聞くことだ。印旛郡酒々井町のあたりでは、もとはかなり広い範囲にわたって天神様を祭らなかった。そのわけは、鎮守の宮が藤原時平で、天神のかたきだからというのであるが、どうして時平大臣を祭るようになったかはわからない。
 寺崎では、道陸神(ドウロクジン)と弁天様とが仲が悪いのである。この道陸神は村はずれの道中に、いつも草履を片方だけ供えられており、弁天様はその下の方の水田の中に祭られている。これは、昔、道陸神が弁天様を大変慕ったが、弁天様は足の不自由な道陸神を嫌い、水田の中いれば、その水口を飛びこえて来ることはできまいと、そこへ逃げてしまった。道陸神は弁天様の思ったとおり、足が不自由で水口を飛びこえることができないので、しかたなく道端で、弁天様の通るのを侍っているのだというのである。
 全くはほほえましい語り草である。
担当 菅 勇二