○行を乱して 飛雁 田疇(デンチュウ)に落つ              (宋的)
  蘆葉半ば 凋(シボ)む遠部の秋
  稲梁(トウリョウ)を貧了(ドンリョウ)して 饉(キン)を充たさんと欲す
  沙頭(サトウ)に倦翼(ケンヨク)し 且つ踟厨(チチュウ)す

○塞(トリデ)を出で行々(コウコウ)として白雲を撃つ            (信斉)
 憐(アワレ)れむに堪えたり 倦翼幾たびか辛勤(シンキン)す
 知るに似たり 遠部の沙汀(サテイ)好(ヨ)しと
 鴻雁(コウガン) 聲々落ちて 群を作(ナ)す

◎手を折りて ひとつふたつと かぞふれば             (信斉)  
              みちてとをべに 落つる雁がね

☆遠部は鹿島川の河口付近で、広い州は鳥たちの好む餌場になっていた。秋が訪れて、岸辺の稲や粟が実のりはじめるころ、列になって飛来した雁たちが、砂浜に下りて長旅のつかれた翼を休めながら空腹を満たしている。旅雁の舞い下りる遠部の情趣ある光景が第二景である。

 「手を折りて ひとつふたつと かぞふれば みちてとをべに 落ちる雁がね」遠部(鹿島川河口付近)の砂浜に列をなして飛んできた雁の群れが、舞い降りてくる風景。
                                               担当 白木宏繁