勝胤寺
大佐倉にある勝胤寺は、釈迦如来を本尊とする曹洞宗の寺院です。亨禄5年(天文元年、1532年)に本佐倉城主千葉勝胤(カツタネ)が華翁祖芳和尚を開山として招き創建したと伝えられます。寺宝として「千葉石」という三日月形の紋様が浮かび出ている、奇石があります。延長8年(930)千葉一族祝宴の最中、天空より落下したとされ、この石を観て「千葉石」と、後醍醐天皇の勅号があり、これが千葉氏の発祥といわれています。勝胤寺は、千葉氏滅亡の天正19年(文禄元年、1592)に徳川家康より寺領20石を与えられました。この寺領については検地帳(勝胤寺)に、山門、客殿、祖師堂、方丈、庫裡、衆寮、江湖寮、鐘楼、回廊、地蔵堂、鎮守社、秋葉権現社といった境内の建造物の記載があり、かなり大規模な寺域であった様子がわかります。現在でも境内地の広さに往時の面影が窺えます。寺域には中世石塔群があり、この寺の由緒の古さを伝えています。
勝胤寺中世石塔群
  勝胤寺には戦国時代に造立された石塔が数多く残されています。戦国時代に造立された石塔は五輪塔と宝篋印塔で、その石材には海隣寺の中世塔群や長源寺の道誉上人五輪塔と同様、いずれも銚子砂岩が使用されています。 銘文から天正7年(1579)5月4日に死去した本佐倉城主千葉胤冨(チバタネトム)などの菩提を弔ったものであることが知られます。
                     担当 壷阪一弘