○瀬戸に新ほんする月一痕                 (宋的)
  菱華(リョウカ) 磨き出でて 乾坤(ケンコン)を照す
  漁舟 釣を罷(ヤ)めて帰る処
  金波を 衝破(ショウハ)する 野水の村

○晴湖 影を漂わせて 月流るるが如く          (信斉)
  残漏(ザンロウ)の光を惜しんで 人楼に倚(ヨ)る
  瀬戸の清風 今夜の景
  吹けば我をして洞庭の秋を嘯(ウソブ)かしむ

◎もろこしの 西の湖もかくやらん              (信斉)
       には照る浪の 瀬戸の月かけ

☆秋晴れの夜、遠い向う岸の瀬戸村に、夜空高く澄んだ月が輝いている。 夜も更けて、清らかな風が水面を渡り、湖面の月影がさざ波に漂っている。 さながら洞庭湖や西湖の名月を想わせる情澄な夜景が第五景である。

 「もろこしの 西の湖もかくやらん には照る波の 瀬戸の月かけ」、干拓前の対岸西印旛沼瀬戸村に、澄んだ空高く秋の名月が輝き、湖面に月影が漂う清らかな夜景。
   
担当 白木宏繁