この井戸については、諸説があり、一説には次のような言い伝えがある。
「昔むかし、鏑木村の高台の雑木林の中に、くもが巣を張りめぐらせて、あぶやせみなどを捕まえて平和に暮らしていました。村人がこの雑木林を切り払おうとしたとき、くもたちが、「ここは私たちの住家です。どうかこのまま残しておいて下さい。その代わり村へはおいしい水を、たとえ干ばつの時でも湧でるようにします」と頼みました。村人たちはこのくもの願いを聞き入れ、林はそのままにしました。すると崖の下から清水がこんこんと湧き出てきたので、くもの井戸と呼ぶようになりました。
ほかの説では、薬師坂の途中にあったともいわれる。さらに小字で雲井戸といわれる場所が別の場所にある。(「新 道々の記」より)
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