○一丘(イッキュウ)突兀(トツコツ)として気蕭森(ショウシン)       (宋的) 
 冬嶺の青松半ば蔭を落す
 瓊屑(ケイセツ)粉々たり 衰日(スイビ)の暮ふ
 玉龍忽ち見る波心に偃(フ)するを

○飯野誰か 一葦(イ)の之(ユ)くに任す              (信斉)
 雪花の暮景 特に猶(ナオ)奇なり
 梁王の殿上(デンジョウ)は渠(カレ)の願いに非ず
 蓑笠(サリュウ)に名を韜(ツツ)んで釣糸を垂る

◎ふり積る 雪の夕べを見ぬ人に                (信斉)
      かくといひのの ことの葉もなし

☆湖面からそそり立つ飯野の丘は樹木が鬱蒼と茂り、 ひっそりとしてもの寂しい。冬の暮れこの高台に、 玉のような粉雪がふんぷんと降り続いている。  寂寥とした飯野台の幽景が第三景である。
          担当 白木宏繁