飯郷作遺跡                                                     
佐倉市下志津字飯郷作にある飯郷作遺跡は、手繰川西岸に舌状に張り出した台地上にあります。県立佐倉西高等学校の新設に際し、1976(昭和51)年から2年間かけて、千葉県文化財センターにより発掘調査が行われました。その結果、前方後方墳2基、方墳2基、方形周溝墓(ホウケイシュウコウボ)23基のほか、縄文時代早期の炉穴、弥生時代後期から平安時代にかけての竪穴住居跡109軒などが検出されました。このうち古墳時代前期に築造されたと考えられる前方後方墳1基(2号墳)、方墳2基(3号墳・4号墳)、方形周溝墓5基(D01〜D05)が校庭に現状保存されています。これら墳墓は周溝を共有し、最初に2号墳が築造され、次に3号墳・4号墳が張り付くように築造され、最後にその回りに方形周溝墓が築造されたものです。全長30mの前方後方墳2号墳と全長25mの前方後方墳1号墳の被葬者は当地方の盟主(メイシュ)であったと考えられ、1号墳の埋葬施設からはガラス小玉が3個、盛土中からは銅鏃が出土しました。 飯郷作遺跡は、古墳時代の前方後方墳・方墳と弥生時代の墓制の流れをひく方形周溝墓とが一連の関係をなしている全国的にも珍しい例であり、墓制の変遷を知る上で重要な意義を持っています。
担当 片桐美奈子