○ 夜雨 蕭々(ショウショウ)たり 舟戸の天                (宋的) 
   深泥(シンデイ) 路(ミチ)を封じて 平田(ヘイデン)に接す
   青燈 耿々(コウコウ)たり 漁窓の外
   幾許(イクバク)の浴鳧(ヨクフ) 水辺に喧(カマビス)し

○ 暮雲 漠々(バクバク)として湖山を掩(オオ)い             (信斉)
   蘆萩(ロテキ)果てて 夜雨を湾に聞く
   漁火濕り 消えて舟戸暗く
   憂うは網裏(モウリ)謀(ハカリゴト)を失して還るを 

 ◎ 漁(イサリ)する 舟戸の浪の よるの雨               (信斉) 
              ぬれてや網の 繩手くるしき
 
☆雨の降るものさみしい舟戸の夜、漁夫が小舟に網を引き寄せている。岸辺の家から、ほのかな明かりがちらついている。 宵闇のなか、湖面に水浴する鴨の声が時折聞こえてくる。雨の降る夜の舟戸の風情が第一景である。

「漁する 舟戸の浪のよる雨 ぬれてや網の 縄手くるしき」漁師の家が点在する舟戸の静寂な夜に、しとしと小雨のそぼ降る風情。




  
担当 白木宏繁